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がん関連

「外来がん治療認定薬剤師」とは?

「外来がん治療認定薬剤師」ってどんな資格?

最近、ある認定資格が病院や薬局を問わずに、薬剤師の中で人気を集めています。

それが

外来がん治療認定薬剤師

という認定資格です!

この記事を見ているということは、少なからずあなたも興味があるんじゃないかな?と思います。

やぎざいし

じゃあ、外来がん治療認定薬剤師ってどんな資格?



認定運営をしている日本臨床床腫瘍薬学会(JASPO)のHPには、以下の記載があります。

外来がん治療認定薬剤師とは

●外来がん治療を安全に施行するための知識・技能を習得した薬剤師
●地域がん医療において、患者と家族をトータルサポートできる薬剤師

つまり化学療法中の患者さんに対し、がんの専門的知識を活かして治療がより良いものになるようサポートすることが出来る薬剤師のことですね!

JASPOは、こうした外来がん治療認定薬剤師の養成を目指して創設された学会です。

「病院」と「薬局」という小さな枠に囚われずに、「医薬連携」という地域包括ケアに根差した新しい連携モデルの確立を目指しています。

この背景には、いままで連日の点滴や副作用の懸念から入院でしか実施できなかったような治療が、医療の進歩や新薬の登場によって内服のみで治療が可能になったり外来通院で実施可能になったということが挙げられます。

分かりやすい例でいうと

・シスプラチン併用レジメンにおけるショートハイドレーションの確立
・肺がんや血液腫瘍の遺伝子変異に対して有効な内服分子標的治療薬の開発

などがそうですね!

医師や看護師の目の届かない外来通院でがん患者さんを安全かつ長期的にフォローしていくためには、特に外来化学療法室に従事する病院薬剤師かかりつけの薬局薬剤師の介入が必要不可欠となってきています。

やぎざいし

がん患者さんの「質の高い化学療法治療」をフォローしていくためにも、専門的な知識を持った薬剤師が必要なんだね!

「外来がん治療認定薬剤師」が人気の理由

外来がん治療認定薬剤師が人気の理由を僕なりに考えてみました。

  1. 挑戦の難易度
  2. 資格取得後の昇給
  3. 認定薬剤師としての需要
  4. 薬剤師としてのやりがい

この4つのバランスが薬剤師の認定資格の中で最強だからだと思います!

順番に解説していきます。

1.挑戦の難易度

とある薬剤師

がん関連の資格なんて、ハードルがすごく高いんでしょ・・・?

僕も最初はそう思っていたんですが、実は外来がん治療認定薬剤師の資格に挑戦するためのハードルは意外と低いんです。

実務経験が3年間ある薬剤師であれば、だれでも挑戦が可能です。

他にもいくつかがんに関わる認定資格はありますが、代表的なものとしてがん専門薬剤師(日本医療薬学会)、がん薬物療法認定薬剤師(日本病院薬剤師会)があります。


この2つと外来がん治療認定薬剤師の取得条件を簡単に比べてみましょう。

外来がん治療認定薬剤師がん専門薬剤師がん薬物療法認定薬剤師
経験年数3年間5年間5年間
症例数10症例(癌種規定なし)50症例(3癌種以上)50症例(複数癌種)
その他規定なし
(申請直前までに学会に入会していればOK)
・日本医療薬学会に5年以上連続して会員継続
・認定施設でがん薬物療法を5年以上研修
・2回以上の学会発表が必要
・がん薬物療法に3年以上連続して従事(病院)
・研修施設に出向し3カ月以上の研修を履修(薬局)
・2回以上の学会発表が必要
試験筆記試験+面接筆記試験筆記試験
単位数60単位以上50単位以上20単位以上

こうして比較してみるとわかる通り、他2つの資格は5年間の実務経験研修・学会発表必須用意する症例数が「50症例」など取得のためのハードルがとても高く設定されています。


つまり、外来がん治療認定薬剤師以外のがん関連の認定資格を取得できるのはがん化学療法を積極的に行っている病院に勤務していて、且つがん化学療法に深く携わることが出来る一部の病院薬剤師に限られてしまうのが現状です。

やぎざいし

外来化学療法中の患者さんに薬剤師として介入するためには、最低でもその患者さんを6カ月以上しっかりフォローし続ける必要があると思うよ。
50症例集めるだけでも、一体何年かかるんだろう・・・。

それに比べてこの外来がん治療認定薬剤師は外来化学療法室に従事する病院薬剤師外来化学療法中の患者さんをフォローしている薬局薬剤師であれば、だれでも取得が可能です!

JASPO主催のセミナーへの参加や、JASPO入会、介入症例の作成などは勿論必要です。

ただ、このセミナー参加や学会入会は薬剤師ならだれでも参加可能で、その単位も3年間繰り越して使用することが可能です。

セミナーでは、各分野の専門の先生が初学者にもとても分かりやすい内容で、各癌種のガイドラインや新薬について解説してくれています。

勉強を兼ねて参加することで、あっという間に単位も集めることが出来ます。

やぎざいし

1年目のときから勉強を始めて各単位も集めていれば、4年目になった時点ですぐ資格受験をすることができる!ってことだね。

このセミナーについても、最近はWebでのオンライン/オンデマンドセミナーが増えてきているので、遠方に行かずともスマホが繋がる場所ならどこでもセミナーの受講が可能です。

スタバでコーヒーと軽食を片手に受講することだって出来ちゃいますね!

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また、介入症例の作成についても外来がん治療認定薬剤師に関しては、患者さんへの介入症例も10症例の提出でOKとされています。


外来化学療法を行っている病院の処方せんを応需している調剤薬局であれば、1年間で10症例を集めることはそんなに難しくないと思います。

やぎざいし

僕は1年間で20症例以上集めることが出来たよ!

2.資格取得後の昇給

現在、薬剤師の認定資格は全部で60種類以上もあります。

数ある資格のなかで外来がん治療認定薬剤師を取得する大きなメリットの1つは確実に年収アップに繋がるということです。

がん関連の資格を取得した薬剤師には、他施設からのスカウト(転職の勧誘)があったり、資格手当が支給されるなど転職や給与条件にかなり好影響が出てきます。

実際に、国内2番目の大手調剤薬局チェーン「日本調剤薬局」でも外来がん治療認定薬剤師取得者には毎月5万円の資格手当を支給するといった好待遇が用意されています。

外来がん治療認定薬剤師を取得するだけで年収が60万円アップできてしまう人も沢山いるということですね。

30年間という長い目で見れば、取得しなかった人と比べて生涯年収が1800万円も変わってしまいます。

例えばすごく単純に計算すると・・・

この毎月5万円増えた手当をすべて、安定成長の要といわれる「全世界株投資」で積み立てたとすると、いまの生活水準を変えず、貯金は全く気にせずに30年後には4000万円以上を手にすることも十分可能だと思います。

やぎざいし

外来がん治療認定薬剤師を取得するだけで、いま騒がれている老後2000万円問題すら解決できちゃうかも・・・!

3.認定薬剤師としての需要

なぜ、こんなにこの資格が優遇されているのか?

それは、外来がん治療認定薬剤師を取得している人がいることで、その施設が新たに診療報酬を得ることが出来る可能性があるからです。

具体的には、病院では「がん患者指導管理料ハ」「連携充実加算」という2つの診療報酬を算定することが可能になります。

 がん患者指導管理料 ハ
・医師又は薬剤師が抗悪性腫瘍剤の投薬又は注射の必要性等について文書により説明を行った場合 200点

連携充実加算
・化学療法の経験を有する医師又は化学療法に係る調剤の経験を有する薬剤師が、抗悪性腫瘍剤等の副作用の発現状況を評価するとともに、副作用の発現状況を記載した治療計画等の文書を患者に交付した場合 150点

また、この連携充実加算の算定を行っている病院の処方箋を応需している調剤薬局であれば「特定薬剤管理指導加算2」という加算を算定することが可能です。

 特定薬剤管理指導加算2
・患者のレジメン等を把握した上で必要な服薬指導を実施し、次回診察までの患者の状況を確認し、その結果を医療機関に情報提供した場合 200点

現状、この加算は資格者の有無に関係なく算定が可能なので、調剤薬局では「外来がん治療認定薬剤師」が算定要件となっているような加算はありません。

ただ、昨年の令和3年8月。特定の機能を有する薬局の認定制度が新設されました。

新設された認定制度の中で、名称表示が認可されたのが
「専門医療機関連携薬局」です。

 専門医療機関連携薬局
・がん等の専門的な薬学管理が必要な利用者に対して、他の医療提供施設との密な連携を行いつつ、より高度な薬学管理や、高い専門性が求められる特殊な調剤に対応可能な薬局のこと。都道府県知事の認定が必要。

都道府県による“お墨付き” 新たな薬局認定制度開始 - CBnews ...

この専門医療機関連携薬局の認定要件の1つに、JASPOが認める外来がん治療認定薬剤師の上位資格である外来がん治療専門薬剤師の配置が必要とされています。

(地域薬学ケア専門薬剤師でも可とされていますが、こちらもハードルの高い資格です。)

外来がん治療専門薬剤師にランクアップするためには「5年以上の経験年数」と「認定医療機関での研修もしくはそれと同等の経験」が必要となります。

つまり専門医療機関連携薬局の取得を狙う薬局は早期に外来がん治療認定薬剤師を育成して、外来がん治療専門薬剤師へ昇格させる準備をしなければいけないということです。

いまのところ専門医療機関連携薬局の認可自体に加算はついていませんが、この指定薬局は厳しい要件を設定して作った認定制度です。


専門性、独自性が求められている時代の流れから、この特定の機能を有する調剤薬局がクローズアップされて加算がつくようになる日がそう遠くないことは明白です。

病院や薬局の経営者はこうした「いずれ来るであろう未来に備えた先行投資」のために積極的な認定取得の推進を行っているわけですね。

日本の医療費は毎年増え続けていて、診療報酬全体では8回連続のマイナス改定(2022年現在)、医療を提供している病院、薬局が経営を維持することは年々厳しくなってきています。

その中でこうした加算を算定できるようになるということは、外来がん治療認定薬剤師の存在そのものが「新たな収益の柱」になるということです。

4.薬剤師としての「やりがい」

外来がん治療認定薬剤師の仕事は何といっても薬剤師としての知識をフルに活かすことが出来るやりがいに繋がることがとても大きな魅力の1つだと思います。

あなたも日常業務のなかで、生活習慣病や心疾患、消化器疾患、内分泌疾患など色んな疾患を抱えた患者さんに服薬指導をしていると思います。

多くの患者さんでは「薬効・副作用や注意点の説明・確認、コンプライアンスの確認、手技の説明、Do処方」がほとんどで副作用の発現はなく介入の必要性がある症例はそこまで多くないと思います。

これはとても喜ばしいことです。いまの薬物治療で副作用もなく、患者さんの病態が良好にコントロールされている、という証に他ならないからです。

でも、忙しい毎日に追われてこうした日常ばかりが続いている、ある日。
こんな疑問にぶち当たってしまうことがあります。

とある薬剤師

調剤・監査、疑義照会、説明と副作用確認。本当に6年間あんなに苦労して勉強してきた知識は仕事に活きてるのかな?これって自分じゃなくてだれでも出来るんじゃ・・・。というかそもそも薬剤師って、必要なの・・・?

とある薬剤師

毎日の業務に追われて、日常業務の中以外ではなかなか勉強する機会がないなぁ。勉強したいなって思うけど、何から始めたらいいんだろう・・・?

こんなことを思いながら毎日を過ごしているうちに時間が過ぎていき、仕事に慣れてきてある程度のことが出来るようになってふと気付くと、あっという間に2、3、4年目になっていた。

こんな話を僕の周りでもよく聞きます。
というより、僕自身がそうでした。

そんな人にこそ、ぜひこの外来がん治療認定薬剤師の資格にチャレンジしてもらいたいと僕は思います!

僕がこの資格を取得しようと思ったきっかけである「カバヘイさん」が以前、とても心に残ることを仰っていました。

がん治療は世界で最も盛んに研究されている分野の一つです。従来の「殺細胞性抗がん薬」だけでなく「内分泌療法薬」「分子標的治療薬」「免疫チェックポイント阻害薬」など様々なタイプの抗がん剤が開発され、治療の選択肢がかなり増えてきています。

その分、各抗がん剤によって副作用プロファイルが大きく異なってくるため、がん治療に関わるには幅広い知識が必要になってきています。

例えば、患者さんが「吐き気がつらい」と言った場合には単に吐気止めを提案するだけではなくCTCAE(有害事象共通用語規準)という世界共通の評価基準に従って、吐気止めの追加だけでいいのか?外来での補液治療が必要なのか?入院が必要なのか?ということを判断する必要があります。

がん治療の副作用】悪心・嘔吐はなぜ起こる?どう防ぐ? | ナース専科

ベバシズマブ(アバスチン®)に代表される血管新生阻害薬には「高血圧」の副作用があるので、いつ降圧薬を開始提案する必要があるか?第一選択薬は何か?原因薬剤の減量・休薬は必要なのか?ということを知るために、CTCAEに加えて高血圧治療ガイドラインの概要も知っている必要があります。

高血圧 (副作用とその対策) | 適正にご使用いただくためのガイド ...

エーザイ 「レンビマ適正使用ガイドライン」より引用

つまり、がんの分野を極めるためには「さまざまな分野の基礎知識」をつけなければいけないので、資格勉強をしていると薬剤師としての総合力が身につきます。

がん治療に限らず「総合力」が身につくことで、今まで何となく分かったつもりでいた一般的な疾患や治療でも、患者さんの現状・治療方針が明確に分かるようになってきます。

やぎざいし

これがカバヘイさんが言っていた薬剤師として見える景色が変わるということなんだね!

最後に

人生100年時代。

・一生のうちに2人に1人が癌に罹患する
・一生のうちに3人に1人は癌が原因で死亡する

日本の2021年のがん統計予測のデータが示している事実です。

抗がん剤治療、薬、副作用。この3つは決して切り離すことができません。

がん患者さんは病気の不安と闘いながら、QOLを大きく低下させるような副作用のリスクと常に隣り合わせで、必死に治療に取り組んでいます。

どんなに着丈に振舞っていようと、どんなに明るく見えようともです。

先日、僕が面談をした患者さんがこんなことを仰っていました。

『先生には短い診察時間の中だから副作用のこと言いそびれちゃったけど、薬剤師さんになら何でも話せる。あなたのおかげで、少し楽になった。ありがとう。』

この言葉を聞いて、がんの勉強をして本当によかったと心から思いました。
そして、こうした思いを抱えている患者さんは実はたくさんいるのです。

あなたは薬剤師です。

4~6年間という長い期間たくさんの勉強を重ねて、受験するだけでも大変な国家試験を通過して、国家資格保持者として国から認められた薬の専門家なのです。

知識を持ってしっかり介入することで、がん患者さんの治療をより良いものに変えることが出来る可能性をあなたは秘めています。

このチャンスは、薬剤師であればだれにでも平等に与えられています。

よく聞く言葉ですが、あえて今は使わせてください。

「今日は、これからの人生で最も若い日です。」

遅すぎるなんてことはありません。
僕と一緒に外来がん治療認定薬剤師の資格に挑戦してみませんか?

患者さんのため、今後のあなたの薬剤師人生を彩るために。

このサイトが、あなたとすべてのがん患者さんをサポートをする薬剤師のための道標となれば嬉しいです。

ABOUT ME
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2次救急の急性期病院で「救急病棟」と「外来がん化学療法」に携わっている現役薬剤師です。株式投資が好きです。

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